日本の企業が適用可能な会計基準(JGAAP、USGAAP、IFRS、JMIS)

1.日本において適用できる会計基準

 財務諸表を作成するための基準である会計基準は日本の会計基準や国際会計基準など複数の会計基準が存在している。日本の企業は一般に日本の会計基準を選択するのが通常であるが、日本の会計基準以外にも準拠可能な会計基準が複数存在しており、財務諸表を分析する立場からは混乱の原因となっている。そこで、ここでは上場企業が適用できる会計基準について整理する。現在、日本の上場企業は日本の会計基準(JGAAP)、米国会計基準(USGAAP)、国際会計基準(IFRS)および修正国際基準(JMIS)の4つの会計基準を適用して連結財務諸表を作成することが認められている(日本の会計基準以外の会計基準を選択するには一定の要件があり)。
 ※GAAPとは、Generally Accepted Accounting Principlesの略で日本語では一般に公正妥当と認められる企業会計の基準を意味する。JGAAPは日本において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準を意味する。

2.適用可能な会計基準

 日本企業の多くは日本会計基準を適用して連結財務諸表を作成している。しかし、米国SEC登録企業については米国会計基準に基づき連結財務諸表を作成することも認められているため、一部の企業は米国会計基準に基づいて財務諸表を作成している。また、2010年3月期からIFRSを適用することも認められたため、IFRSに基づいて連結財務諸表を作成している会社も増加している。ニュース等で決算情報が報道される際には米国基準や国際会計基準と括弧書きされていることがあるのもこのためである。修正国際基準は2016年3月期から適用することが認められているが現在のところ採用している企業は存在しない。
 表1に2019年7月末までに東証一部上場企業の有価証券報告書において適用している会計基準の数をまとめている。IFRS適用企業は今後も多くなってくると考えられる。

表1 東証一部上場企業の適用している会計基準(2019年7月末)

2.1 日本会計基準(JGAAP)

日本の会計基準については、特に説明は不要と思われるが他の会計基準との関係について整理する。日本の会計基準については従来は米国会計基準や国際会計基準と大きな差異があったが現在はこれらの会計基準のコンバージェンス(収斂)によって差異が小さくなってきている。ただし、のれんの償却といって論点や表示科目が異なるという差異が今も存在しており、その他の会計基準とまったく同様に財務分析をすることはできない点に留意する必要がある。

2.2 米国会計基準(USGAAP)

米国会計基準は国際会計基準と並ぶ世界的な会計基準であり、日本の会計基準も米国を参考としていることもあり、基本的に類似している。日本の企業は米国SECに登録企業についてはこれによって財務諸表を公表することが認められている。

2.3 国際会計基準(IFRS)

国際会計基準は世界100以上の国と地域で用いられている会計基準であり、非常に多くの国で採用されている。原則主義、貸借対照表重視、注記が多いなどの特徴がみられる。

2.4 修正国際基準(JMIS)

 国際会計基準をベースに日本において一部の基準を削除または修正した会計基準である。世界に向けて日本であるべき会計基準を示したものであるが、現在、適用している企業は存在しない。

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