新リース基準対応でシステム・支援サービスを選ぶ前に整理すべきこと
新リース会計基準対応では、リース会計システム、影響額試算ツール、表計算ソフト型の導入支援、AIを活用した契約読取、実務セミナーなど、関連サービスの選択肢が増えています。
ただし、最初に考えるべきことは「どのサービスを使うか」だけではありません。
先に、自社の契約情報、短期リース・少額リース候補、影響額、会計方針、監査法人への説明範囲を整理しておかないと、どのサービスが自社に合うかを判断しにくくなります。
結論:サービス選定の前に、自社の契約情報と影響額を整理する
新リース会計基準は、2027年4月1日以後開始する事業年度の期首から強制適用されるため、対象会社では準備期間が限られています。
関連サービスやツールの情報は増えていますが、サービス選定を先に進めるよりも、まず自社の契約情報と影響額を整理することが重要です。
理由は、契約件数、拠点数、更新・解約オプションの多さ、連結グループ内取引の有無、監査法人への説明範囲によって、必要なサービスや支援内容が変わるためです。
新リース基準対応で増えている関連サービス
2026年6月時点で確認できる公開情報を見ると、新リース会計基準対応に関するサービスは、単なる制度解説から実務対応支援へ広がっています。
- PCAは、新リース会計基準対応機能を2026年秋にリリース予定とし、影響額試算ツールや短期・少額リースの自動判別機能などを案内しています。
- TKCは、リースの識別と期間チェックツール、影響額試算ツール、個別論点PDFBOOK、連結会計上の留意点に関するセミナーなどを案内しています。
- プロシップは、実務セミナーやグループ間取引・連結消去仕訳に関するウェビナーを案内しています。
- PwCビジネスアシュアランスは、表計算ソフトベースで検討・集計・証跡作成を支援する「新リース基準スピード導入キット」を案内しています。
- KPMGは、AIを活用したリース契約自動読込ツールに触れ、契約情報の抽出やデータ移行の効率化を支援内容として示しています。
これらは、各社の公開情報に基づく事実整理です。この記事では、特定サービスの優劣を比較するのではなく、サービス選定前に自社で整理すべき実務論点を確認します。
システムを選ぶ前に確認すべきこと
リース会計システムや支援サービスを検討する前に、まず次の点を整理する必要があります。
- 契約件数はどの程度あるか
- 不動産賃貸借契約が多いか
- 複数拠点・複数子会社があるか
- 更新・解約オプションの判断が多いか
- 短期リース・少額リース候補をどのように管理するか
- 影響額をどの粒度で試算するか
- 監査法人にどこまで説明する必要があるか
- 連結上の調整やグループ間取引があるか
契約件数が少なく、契約変更も少ない会社では、表計算ソフトや簡易ツールを使った整理が現実的な場合があります。
一方、契約件数が多い会社、店舗・拠点が多い会社、連結グループ内の取引が多い会社では、システム導入や契約管理体制の見直しを早めに検討した方がよい場合があります。
自社への影響額を先に概算すべき理由については、以下の記事でも解説しています。
表計算ソフト型の支援が合う会社
表計算ソフト型の支援は、次のような会社に向いている可能性があります。
- 契約件数が比較的少ない
- まず影響額を概算したい
- 既存システムの改修予定がまだ決まっていない
- 初年度対応を急ぎたい
- 証跡を残しながら社内で管理したい
ただし、表計算ソフトで対応する場合でも、契約情報の入力ルール、更新時の管理、レビュー体制、変更時の再計算ルールを決めておく必要があります。
表計算ソフトは柔軟に使える一方で、ファイル管理、入力ミス、バージョン管理、レビュー証跡の管理が課題になりやすいためです。
AI契約読取や契約管理が重要になる会社
AIによる契約読取や契約管理サービスは、契約書の量が多い会社にとって有力な選択肢になります。
特に、不動産賃貸借契約、設備利用契約、業務委託契約など、契約書の中にリースに該当する可能性のある条項が含まれる場合、契約情報を網羅的に確認する負担が大きくなります。
ただし、AIや契約読取ツールを使う場合でも、最終的な会計判断は人が確認する必要があります。
ツールは契約情報の抽出や整理を効率化するものと位置付け、リース識別、リース期間、短期・少額リース候補、割引率などの判断方針は別途整理しておくことが重要です。
契約一覧に入れるべき項目については、以下の記事で整理しています。
連結・グループ間取引がある会社の注意点
上場会社の子会社や連結グループでは、単体決算だけでなく、連結上の調整も確認が必要になります。
グループ間リース、連結消去仕訳、親会社への報告様式、子会社ごとの契約情報収集など、単体会社だけでは完結しない論点が出てきます。
この場合、システムや支援サービスを選ぶ前に、親会社・子会社間でどの情報を、どの粒度で、いつまでに集めるかを決めておく必要があります。
会計方針書として判断軸を残す必要性については、以下の記事でも解説しています。
まず整理すべきチェックリスト
新リース会計基準対応で、サービス選定前に最低限確認したい項目は次のとおりです。
- 契約一覧の作成範囲
- リース識別の判断方針
- リース期間の見積もり方針
- 短期リース・少額リース候補の管理方法
- 影響額試算の対象範囲
- 会計方針メモの作成有無
- 監査法人への事前確認事項
- システム導入、表計算ソフト対応、外部支援の使い分け
- 連結グループ内での情報収集方法
短期リース・少額リース候補の整理については、以下の記事でも解説しています。
九段パートナーズで支援できること
九段パートナーズでは、新リース会計基準対応について、システム導入そのものを前提にするのではなく、まず自社の契約情報、影響額、会計方針、監査対応の整理を支援します。
具体的には、契約一覧の整理、短期・少額リース候補の確認、影響額の概算、会計方針メモの作成、監査法人への説明準備などを支援できます。
「どのシステムを入れるか」を決める前に、自社の対応範囲や論点を整理したい場合は、初回相談をご利用ください。

