新リース基準、自社への影響額をまず概算すべき理由

まず簡易一覧を作り、主要契約から概算する

新基準の適用が必要な会社では、概算で影響と作業量の見通しをつかみます。全契約を最初から同じ深さで調べるのではなく、簡易一覧で全体を把握し、重要な契約から確認します。

図1簡易一覧から概算し、追加調査につなげる
  1. 契約の全体像を簡易一覧にする

    契約種類・件数・支払額・資料の所在を把握する。

  2. 主要契約を、前提を置いて概算する

    調査済みと未確認を分け、仮置きした期間・割引率を記録する。

  3. 不足契約・判断事項を精査する

    概算結果から優先順と体制を決め、全体の漏れ確認と正式な計算へ進む。

実務上の進め方です。概算は準備の優先順位を付けるためのもので、適用の要否や必要な会計処理を免除する判断ではありません。

概算で集める情報と、計算する金額

図2支払総額と、会計上の計上額を分ける
最初に決める:試算時点と計算方法
新規リースの開始時か、初適用年度の期首か。移行時は採用する経過措置も確認。
入力する前提期間・支払い・割引率

更新・解約条件、支払時期、含めるリース料、簡便処理候補を整理。

計算して確認使用権資産・リース負債

負債は原則として現在価値で計算。資産には前払額等の調整も反映。

「月額 × 月数」は支払総額の目安で、計上額そのものではない
未確認の前提を明示し、必要なら条件を変えて影響の幅を確認する。

開始日の計上は第34号第33・34項、初適用時の計算は適用指針第118〜125項等によります。資産と負債が常に同額になるわけではなく、概算値をそのまま決算の確定額に使うものではありません。

最初に集める情報を開く(7項目)
  • 主な賃貸借契約、リース契約、利用契約の件数
  • 月額又は年額の支払額
  • 契約期間
  • 残存期間
  • 延長オプション、解約オプションの有無
  • 短期リースや少額リースに該当しそうな契約
  • 親会社や監査法人から求められている対応水準

契約にリースが含まれるかは契約締結時に判断します(第34号第25・26項、適用指針第5項)。リース期間は、解約不能期間に、延長することが合理的に確実な期間と、解約しないことが合理的に確実な期間を加えて判断します(第34号第15・31項、適用指針第17項)。

重要な契約から、確認の深さを決める

図3金額と判断の難しさから、確認順を付ける
確認する観点
条件が比較的明確
更新・解約等の判断が必要
金額の影響が大きい
早めに試算

支払条件を入力し、全体の影響をつかむ。

優先して精査

期間や選択条件を検討し、仮置きとの差を確認。

金額の影響が小さい
一覧と方針で確認

短期・少額の要件と、採用する方法を照合。

論点を先に洗い出す

金額だけで後回しにせず、判断が必要な点を共有。

調査の優先順位を考える例です。金額は1件だけでなく全体への影響も見ます。小さい契約を一覧から除外せず、親会社報告・監査上の重要性も合わせて判断します。

先に確認する契約の例を開く
  • 本社、店舗、倉庫、工場などの賃貸借契約
  • 月額支払額が大きいリース契約
  • 契約期間が長い契約
  • 延長オプションや解約オプションがある契約
  • 親会社報告や監査上の影響が大きい契約

短期リース・少額リースの候補を分ける

短期リースは、開始日における借手のリース期間が12か月以内で、購入オプションを含まないリースです(適用指針第4項(2))。短期の簡便処理は第20項、少額の方法と要件は第22・23項で確認します。

一覧で候補を分けた段階と、採用方針に沿って処理を確定した段階を区別してください。少額かどうかも金額だけで決めず、方法ごとの要件を確認します。

新リース基準対応、契約一覧はどの項目で作るべきか

概算結果を、体制と説明資料につなげる

調査した範囲、未確認の契約、置いた前提をセットで示すと、社内工数、計算ツール、外部支援、監査法人・親会社への説明を検討しやすくなります。

概算なしで進める場合の注意点を開く
  • 対応範囲が広がりすぎる
  • 重要な契約と軽微な契約の優先順位がつかない
  • 監査法人や親会社への説明が後手に回る
  • ソフト導入後に必要な契約情報が不足していることが分かる
  • 予算や社内工数の見積もりができない

新リース基準対応は、ソフト導入前に契約一覧とリースの識別を整理すべき理由

次に進めること

まず簡易一覧で全体像を押さえ、主要契約を概算しましょう。影響が小さく見える場合も、未調査の契約と仮置きの前提を確認してから、必要な調査・計算を進めます。

根拠(2026年9月28日確認):企業会計基準第34号第15項・第25〜26項・第31項・第33〜35項、企業会計基準適用指針第33号第4項(2)・第5〜8項・第17項・第20項・第22〜23項・第37項・第118〜125項。図の工程と優先順位は実務提案です。個別契約の計上額や適用可否を示すものではありません。

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