マンション売却後の確定申告は必要?3,000万円控除・必要書類・相談の目安
マンションを売却したら、まず税金の計算上の利益を確認し、特例を使うかどうかで申告の必要性を判断します。マイホームの3,000万円特別控除を使う場合は、その結果として税額がゼロになっても確定申告が必要です。
「売った価格が購入価格より低い」「住宅ローンを返したらお金が残らない」という事情だけでは、申告が不要とは判断できません。この記事では、国内にお住まいの方のマイホーム売却を中心に、申告の確認順序と準備する資料を整理します。
2026年分として所得税の確定申告が必要な場合、原則として申告・納付期限は2027年3月15日です。制度・根拠の確認日:2026年10月15日。投資用物件、海外居住、相続・贈与などがある場合は、該当する条件を別途確認します。
1. 確定申告が必要かを確認する3つのケース
税金の計算上、利益がある
他の所得や所得控除、申告不要制度も含めて申告義務を確認します。給与の年末調整だけでは、不動産売却の税務処理は完了しません。
3,000万円控除を使う
特例の適用には確定申告が必要です。控除によって売却益に対する税額がゼロになる場合も、申告を省略できません。
税金の計算上、損失がある
その売却だけを理由とする所得税の申告は原則不要です。ただし、損失の特例を使う場合は申告が必要で、他の所得による申告義務も別に確認します。
給与所得者には、一定の条件で給与・退職所得以外の所得が20万円以下なら所得税の申告を要しない制度があります。ただし、売却代金が20万円以下かを見る制度ではありません。他の所得との合計や給与の状況を確認し、特例の申告要件と分けて判断します。医療費控除などのために確定申告する場合には、20万円以下の所得も含めて申告します。所得税の申告が不要でも、住民税の申告が必要な場合があります。
参照:国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人、No.3302 マイホームを売ったときの特例。
損をして売った場合も、特例を確認する
土地・建物の売却損は、原則として給与などの所得と差し引くことができません。ただし、マイホームの買い替えや、住宅ローンが残るマイホームの売却では、要件を満たすと損益通算(他の所得から損失を差し引くこと)や翌年以後への繰越控除を受けられる場合があります。
所有期間、借入れ、買い替えの有無などの条件を確認します。「売却損があるから必ず還付される」「申告しなくてよい」のどちらも、金額だけでは判断できません。
申告を依頼したい方は、対応範囲・料金・ご相談の流れを確認できます。
マンション売却の確定申告サービスを見る2. 売却益は「売値-買値」だけでは決まらない
譲渡所得 = 売却収入 − 取得費 − 譲渡費用
取得費は購入代金など、譲渡費用は売却のために直接かかった仲介手数料などです。適用できる特別控除がある場合は、この後に差し引きます。
マンションは土地の持分と建物に分けて確認します。建物の取得費は、購入代金などから所有期間中の減価償却費相当額を差し引きます。減価償却とは、使用や時間の経過による価値の減少を計算に反映することです。自宅として使っていた建物にも、この調整が必要です。
そのため、購入価格より安く売っても、税金の計算上は利益が生じる場合があります。住宅ローンの元本返済額を、そのまま取得費や譲渡費用として差し引く計算でもありません。
購入したときの契約書が見つからない場合
取得費が分からないときなどは、売却額の5%を概算取得費とする方法があります。ただし、実際の購入額より取得費が小さくなり、計算上の利益が大きくなることがあります。すぐに5%で計算すると決めず、契約書の控え、当時の精算書、購入に関する記録を確認しましょう。
参照:国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた、No.3261 建物の取得費の計算、No.3258 取得費が分からないとき。
3. 3,000万円特別控除を使う前の確認
一定の要件を満たすマイホームの売却では、所有期間の長短にかかわらず、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。売却代金そのものから3,000万円を引く制度ではなく、取得費・譲渡費用を差し引いた利益に対する控除です。
計算例:利益2,200万円の場合
売却収入6,000万円 − 取得費3,600万円 − 譲渡費用200万円 = 譲渡所得2,200万円
3,000万円特別控除の要件を満たす場合、2,200万円を控除し、この売却の課税対象となる譲渡所得はゼロになります。この場合も、控除を受けるための申告が必要です。
説明用の架空例です。取得費3,600万円は建物の減価償却費相当額を差し引いた後の金額とし、他の特例や他の所得は考慮していません。
確認する主な事項は次のとおりです。以下だけで適用を判定できるわけではありません。
- 実際に自分が住んでいた住宅か。以前の自宅なら、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却か。
- 売却した年の前年・前々年などに、居住用財産の特例を使っていないか。
- 親子・夫婦など、特別な関係のある相手への売却ではないか。
- 新居の住宅ローン控除など、併用できない制度が関係していないか。
買い替えでは、新居の住宅ローン控除も確認
3,000万円特別控除と新居の住宅ローン控除には、同じ年だけでなく前後の年にわたる併用制限があります。新居への入居年とその前2年・後3年の関係を確認し、売却した年の税額だけで判断しないことが大切です。入居年の翌年から3年目までの売却については、住宅ローン控除の対象となる資産以外の資産を売却する場合など、適用条件も確認します。
参照:国税庁 No.3302(適用要件・申告手続・住宅ローン控除との関係)。
併用できない年の関係や税額の比較例は、3,000万円控除と住宅ローン控除の比較記事で詳しく解説しています。
4. 確定申告に向けて準備する資料
まず購入時・売却時・居住履歴の3つに分けると整理しやすくなります。下表は計算・確認に使う資料の例で、すべてを申告書へ添付するという意味ではありません。適用する制度や提出方法により、必要な提出書類は異なります。
| 区分 | 主な資料 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 購入時 | 売買契約書、精算書、仲介手数料・登記費用などの明細 | 取得時期、土地・建物の金額、取得費に含める費用 |
| 売却時 | 売買契約書、精算書、仲介手数料などの領収書 | 売却収入、契約・引渡しの日、譲渡費用 |
| 物件・居住履歴 | 登記事項、住み始め・転居の記録、必要に応じ戸籍の附票など | 所有者・持分、自宅として使っていた時期 |
| 買い替え・特例 | 過去の申告書、新居の契約・入居・借入れに関する資料。損失特例を検討する場合は売却物件の住宅ローン残高・返済期間の資料 | 過去の特例適用、新居の住宅ローン控除との関係 |
| その年の申告 | 給与・年金の源泉徴収票、各種控除の資料 | 売却所得以外も含めた申告内容 |
| 貸していた場合 | 過去の申告書、減価償却の明細、家賃・経費の帳簿 | 賃貸期間中の減価償却、売却年の賃貸所得 |
資料が不足していても、不足している種類を整理して相談できます。本人確認資料などの機微な資料の提出方法は、依頼先の案内を確認してください。当事務所への最初のお問い合わせには、契約書・申告書・本人確認資料などを添付する必要はありません。
5. 売却後から申告までの進め方
- 売却後:購入・売却資料をまとめ、居住履歴、共有者、買い替えの有無を確認する。
- 年内を目安に:申告の必要性と特例の論点を整理し、依頼する場合は対応範囲・料金・日程を確認する。
- 年明け:源泉徴収票などの年間資料を追加し、計算内容と申告書を確認する。
- 申告期限まで:申告書の提出と、納付が必要な場合の納税を行う。
所得税の確定申告期間は原則として翌年2月16日から3月15日までです。2026年中の売却を2026年分に含める場合は、原則2027年2月16日から3月15日までに申告します。売買契約と引渡しが年をまたぐ場合は、どの年分に含めるかを確認してください。
「年内の相談」は準備のための目安であり、法定の相談期限ではありません。資料不足や特例の比較がある場合は、申告時期を待たずに整理を始めると進めやすくなります。
参照:国税庁 No.2020 確定申告。
6. 税理士への相談・依頼の目安
マンションを売却したからといって、必ず税理士へ依頼しなければならないわけではありません。資料が揃い、計算方法や適用条件を確認できる場合は、国税庁の案内に沿ってご自身で申告する方法もあります。
一方、次のような場合は、申告書を作り始める前に論点を整理するとよいでしょう。
- 建物の減価償却や土地・建物の金額の分け方が分からない。
- 3,000万円特別控除と新居の住宅ローン控除を比較したい。
- 共有名義、相続・贈与、購入資料の不足がある。
- 自宅と賃貸の切り替え、売却損、海外への転居がある。
- 資料の確認から申告書の作成・提出まで依頼したい。
依頼先を比較する際は、基本料金だけでなく、特例の確認、他の所得の申告、追加資料への対応、別途見積りとなる作業を確認します。
マンション売却の確定申告をご検討の方へ
九段パートナーズ会計事務所では、購入・売却資料の確認、売却益と特例の確認、申告書の作成・代理申告を行います。対応範囲と料金は、資料やご相談内容を踏まえてご案内します。
初回の概要確認と見積りは無料です。個別の税額計算や特例の判定は契約後に行います。お引受けの可否・日程は確認後にご案内します。海外居住・出国や帰国がある方は、海外居住者向けの専用窓口をご利用ください。
根拠資料とこの記事の対象
この記事は一般的な情報提供です。個別の申告要否、特例の適用、税額は、売却年、所得、所有・居住履歴、過去の申告内容などにより異なります。2026年10月15日に以下の国税庁資料を確認しています。申告時には対象年分の最新の様式・案内を確認してください。


