新リース会計基準対応ソフトウェアの選び方|Excel管理・リース管理システム・固定資産システムの違い

新リース会計基準対応では、リース管理システム、固定資産システム、影響額試算ツール、AIを使った契約書読取など、ソフトウェアや関連サービスの選択肢が増えています。

ただし、最初に決めるべきことは「どのソフトウェアを入れるか」ではありません。まず、自社の契約件数、契約変更の頻度、複数拠点・複数法人の有無、親会社報告、監査対応、既存会計システムとの連携要否を整理する必要があります。

この記事では、各社の公式公開情報をもとに、新リース会計基準対応ソフトウェアをタイプ別に整理し、選定前に確認すべきポイントを解説します。特定の製品を推奨するものではなく、会計基準対応の観点から、自社に必要な要件を整理するための記事です。

結論: ソフトウェア選定の前に、Excelで足りるか、システムが必要かを判断する

新リース会計基準対応では、契約件数が少なく、契約変更も少ない会社であれば、初年度はExcel台帳や影響額試算ツールを使って対応を開始できる場合があります。

一方で、契約件数が多い会社、店舗・拠点が多い会社、複数法人を管理する会社、親会社や監査法人への説明が重い会社では、リース管理システムや固定資産システムの新リース対応機能を検討した方がよい場合があります。

判断の順序は、次のとおりです。

  1. 契約一覧を作り、対象契約の全体像を把握する
  2. リースに該当する契約、短期リース、少額リース候補を整理する
  3. 概算影響額と、継続運用の負荷を確認する
  4. Excel台帳で対応できるか、システム導入が必要かを判断する
  5. 必要な場合だけ、ソフトウェア候補を比較する

新リース会計基準対応ソフトウェアの主なタイプ

新リース会計基準対応のソフトウェアは、機能や対象会社によって大きく分けると次のタイプになります。

タイプ 主な役割 向いている会社
リース管理専用システム 契約管理、リース判定、使用権資産・リース負債計算、仕訳、帳票、開示情報の整理 契約件数が多い会社、上場会社、上場子会社、店舗・拠点が多い会社
固定資産・ERP系システム 既存の固定資産管理、会計システム、仕訳連携とあわせて新リース対応を行う 既に固定資産システムやERPを使っており、既存環境との連携を重視する会社
リース会社系の管理システム リース契約情報の一元管理、計算、帳票作成、契約変更時の再計算 リース契約の管理実務が重く、契約情報の整理と帳票化を効率化したい会社
影響額試算ツール・Excel型ツール 初期影響額の試算、契約情報の整理、会計方針検討のたたき台作成 まず影響額を把握したい会社、初年度対応を小さく始めたい会社
AI・OCR・契約管理補助 契約書の読取、リース候補の抽出、契約情報の整理補助 契約書が多く、紙、PDF、電子契約など保管場所が分散している会社

代表的な公式公開情報の整理

2026年7月9日時点で確認した公式公開情報では、次のようなサービスや製品が新リース会計基準対応を案内しています。ここでは優劣比較ではなく、公開情報上の確認ポイントとして整理します。

会社・サービス 公開情報上の特徴 確認するとよい点
プロシップ ProPlus+ SaaSとして、新リース対応の事前整理、業務運用検討、システム利用までを案内。自動判定、複数帳簿、リース負債の見直し、開示情報、仕訳出力などを掲げています。 契約件数が多い場合、複数基準管理、開示情報、仕訳出力、IFRS16対応経験をどう活用できるか。
OBC 固定資産奉行V ERPクラウド等 新リース会計基準対応として、固定資産管理、シミュレーション、仕訳・会計処理の効率化を案内。別サービスとしてAIによるリース識別クラウドも案内されています。 既存の奉行系利用状況、契約識別、計算、仕訳連携、導入負荷、対象サービスの範囲。
PCAクラウド 固定資産 影響額試算ツール、Excel取込、遡及計算、仕訳伝票作成、リース負債見直し、会計・税務差異の計算などを案内しています。 PCA利用会社での既存データ連携、固定資産管理との一体運用、税務申告関連機能との接続。
TKC 新リース会計基準対応関連 制度解説、リースの識別と期間チェックツール、影響額試算ツール、関連システム情報、連結会計上の留意点などを案内しています。 既存TKC環境、親会社報告、連結会計、影響額試算、社内説明資料として使える範囲。
SMFL スーパーネットリース リース資産管理システムとして、契約情報の一元管理、自動計算、帳票作成、契約条件変更時の再計算などを案内しています。 リース契約管理の実務負荷、帳票作成、リース会社との取引情報、契約変更時の運用。
SuperStream-NX 関連 新リース会計基準対応の影響額試算ツール、既存データ活用、日本基準・IFRS基準への対応、固定資産管理との連携を案内しています。 既存SuperStream利用状況、ERP連携、グループ管理、日本基準とIFRSの併用要否。

比較表で見るべき項目

製品名だけを並べても、自社に合うかは判断できません。比較表を作る場合は、少なくとも次の項目を確認します。

  • リースの識別に対応しているか
  • 契約一覧や既存Excelを取り込めるか
  • 使用権資産とリース負債の計算に対応しているか
  • 短期リース、少額リース、300万円基準などの管理ができるか
  • 契約変更、解約、延長オプション、リース料改定時の再計算に対応しているか
  • 仕訳データや会計システム連携に対応しているか
  • 注記、開示資料、親会社報告、監査法人説明に使える出力があるか
  • 会計と税務の差異をどこまで管理できるか
  • 複数法人、複数拠点、グループ管理に対応しているか
  • 導入支援、保守、操作説明、制度変更時のアップデート範囲が明確か

Excelで足りる会社と、システム導入を検討すべき会社

Excelで足りるか、システム導入を検討すべきかは、会社規模だけでは決まりません。契約件数、変更頻度、監査対応、親会社報告、既存システムとの連携要否をあわせて見ます。

区分 想定される会社 進め方
Excel台帳で開始 契約件数が少ない、契約変更が少ない、単体会社、親会社報告や監査対応が限定的 契約一覧、リース判定メモ、影響額試算、会計方針メモをExcel等で整理する
Excelで開始し、システムを並行検討 初年度はExcelで進められるが、翌期以降の契約変更、監査証跡、親会社報告に不安がある 初年度対応を進めながら、将来の移行を見据えて台帳項目とベンダー比較表を作る
システム導入を優先検討 契約件数が多い、店舗・拠点が多い、複数法人、契約変更が頻繁、監査証跡や仕訳連携が重要 会計方針、リース判定、台帳項目を先に整理し、導入要件とベンダー質問リストを作る

ソフトウェアを入れても、会計判断は残る

リース会計システムを導入しても、新リース会計基準対応が自動的に完了するわけではありません。ソフトウェアは計算や管理を効率化しますが、前提となる会計判断は会社側で整理する必要があります。

特に、次の論点はソフトウェア選定前に方針を決めておくことが重要です。

  • 契約にリースが含まれるか
  • リース期間をどのように見積もるか
  • 短期リース、少額リース、300万円基準をどのように管理するか
  • 割引率、リース料、残価保証、購入オプションをどのように扱うか
  • 契約変更、解約、延長時の再計算ルールをどうするか
  • 監査法人や親会社へ、判断過程をどのように説明するか
  • 注記、開示、税務差異、仕訳連携をどこまで求めるか

この部分を整理せずにソフトウェア選定を進めると、導入後に「入力項目が足りない」「監査法人に説明できない」「親会社報告の形式に合わない」といった手戻りが起きやすくなります。

ベンダーに確認すべき質問

候補ソフトウェアを比較するときは、次の質問を事前に用意しておくと整理しやすくなります。

  1. 新リース会計基準への対応範囲はどこまでか
  2. 対応済み機能と、今後対応予定の機能は何か
  3. 契約一覧やExcel台帳からデータを取り込めるか
  4. リース識別、リース期間、短期・少額リース候補をどのように管理するか
  5. 契約変更、解約、延長オプション、リース料改定時の再計算に対応しているか
  6. 仕訳出力、CSV出力、既存会計システム連携は可能か
  7. 注記、親会社報告、監査法人説明に使える資料を出力できるか
  8. 会計と税務の差異を管理できるか
  9. 導入期間、初期設定、教育、保守、アップデートの範囲はどこまでか
  10. 料金体系、紹介料、販売手数料、協業条件がある場合は開示されるか

まずは契約一覧と会計方針を整理する

新リース会計基準対応では、ソフトウェア選定そのものよりも、契約一覧、リース判定、会計方針、監査法人説明、親会社報告の整理が先になります。

九段パートナーズ会計事務所では、特定ソフトウェアの販売代理や導入代行ではなく、会計基準対応の観点から、Excel台帳で足りるか、リース管理システムが必要か、導入前にどの要件を整理すべきかを支援します。

新リース会計基準対応の全体像、影響度診断、台帳整備、システム導入判断の支援については、次のページをご覧ください。

新リース会計基準対応支援

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参考にした公式情報

確認日: 2026年7月9日。各社の機能、価格、提供時期、導入条件は変更される可能性があります。顧客提案や導入判断の前には、必ず各社の最新公式情報を確認してください。