借りているオフィスも「リース」に?新リース会計基準の対象会社で家賃の処理はどう変わる
新リース会計基準を適用する会社では、借りているオフィスも原則として資産・負債の計上対象です。 対象は主に上場会社や会計監査人を置く会社などです。まず自社が対象かを確認しましょう。
いつから対応する?まずは自社の適用を確認
適用は2027年4月1日以後に開始する連結会計年度・事業年度から。3月決算なら通常は2028年3月期が最初の適用年度です。早期適用も認められています。[1]
- 主に対象となる会社: 上場会社など金融商品取引法の適用を受ける会社、会計監査人を置く会社(任意の場合も含む)。
- それ以外の中小企業: 中小会計指針・中小会計要領に沿って、従来の処理を続けられる場合があります。
上場会社や会計監査人を置く会社の子会社・関連会社は、自社の決算に使う会計ルールと、親会社の連結決算用に求められる対応の両方を確認してください。[1]
「賃貸借契約」でもリースの対象になる
契約名よりも、特定の区画を一定期間、対価を払って使い、使用による利益をほぼすべて自社が得て、使い方を自社で決められるかで判断します。一般的なオフィス賃貸は、通常リースに該当します。[2]
自由席のコワーキングスペースなどは、専用区画の有無や運営会社の区画入替権を個別に確認します。
資産になるのは「オフィスを使う権利」
建物そのものが会社の所有物になるわけではありません。新基準では原則として、家賃を費用にする代わりに、減価償却費と支払利息を計上します。[3]
この会計処理の変更だけで、契約上の家賃が増えたり、将来の家賃を一括払いする義務が生じたりするわけではありません。
オフィスが1か所でも、確認する意味がある
月々の家賃を数年分まとめると、計算対象となる金額は大きくなります。[4]
割引後の金額は通常、単純な支払総額より小さくなります。調整により使用権資産とリース負債が一致しない場合もあり、期間を一律に5年とする決まりもありません。
資産・負債の増加は、自己資本比率などの財務指標にも影響し得ます。
「2年契約」「6か月前に解約可能」だけでは決まらない
契約書の年数や解約予告期間だけでは、計算に使うリース期間は決まりません。[5]
「合理的に確実」は可能性が相当程度高いという意味です。使い続ける意図だけでなく、内装投資、移転費用や業務への支障、場所の重要性、更新・解約条件や移転計画を踏まえ、判断の理由を残します。
詳しくは、リース期間の見積もりの実務判断ポイントをご覧ください。
最初の準備は、オフィスの契約書をそろえること
新規契約だけでなく、すでに借りているオフィスも含めて、次の資料を集めます。
| 集めたい資料・情報 | 確認すること |
|---|---|
| 賃貸借契約書、更新契約書、覚書 | 現在有効な契約条件 |
| 家賃・共益費等の明細 | 支払額とサービス等の内訳 |
| 更新・解約に関する条項 | 更新の条件、解約予告期間、違約金 |
| 内装工事や移転計画に関する情報 | 継続使用を判断する材料 |
移行時には、適用初年度の期首に残る支払額をもとにリース負債を計算する方法など、経過措置があります。採用する方法を確認してください。[6]
短期・少額リースには資産・負債を計上しない選択肢もあります。ただし短期リースは、会計上のリース期間が12か月以内で、購入オプションがないことなどが前提です。月額家賃が低い、解約予告期間が短いというだけでは判断できません。[6]
資料を集めたら、契約一覧とリース判定メモの作り方を参考に一覧化しましょう。
オフィス賃貸の確認から、新リース対応を進めたい方へ
「オフィス以外に大きなリースはない」「契約は少ないが、計算や決算処理まで対応できるか不安」という場合も、まずは契約内容と必要な作業を整理することが出発点になります。
九段パートナーズ会計事務所では、契約整理や会計方針の検討から、計算、仕訳入力、月次運用、初年度決算まで、新リース会計基準への実務対応を一括して支援しています。
※本記事は一般的な説明です。適用の要否、リース期間、例外の利用、計上額は、会社の会計方針や個別の契約条件によって確認が必要です。根拠確認日:2026年9月25日。


